メキシコペソは、2023年8月29日に発表されたメキシコ中央銀行の政策金利決定によって、対ドルで上昇しました。中央銀行は、市場の予想に反して、政策金利を4.5%に据え置くと発表したのです。
これは、メキシコ経済の回復が順調であることや、インフレ圧力が一時的であることを示すものと受け止められました。また、中央銀行は、今後の金融政策の方向性について、データに依存するという慎重な姿勢を示しました。
メキシコペソは、政策金利据え置きの発表後、対ドルで約1%上昇しました。メキシコペソは、今年に入ってから対ドルで約10%下落しており、新型コロナウイルスの感染拡大やワクチン接種の遅れ、政治的な不安定さなどが重しとなっていました。
しかし、最近では、感染者数や死者数が減少傾向にあり、ワクチン接種率も上昇しています。また、経済活動も回復しており、第2四半期のGDP成長率は前期比19.6%となりました。
メキシコペソの見通しについては、様々な見方がありますが、私は損切りに買い推奨をする立場です。メキシコペソは、対ドルで過去10年間の平均水準よりも約20%安くなっており、過度に割安と言えます。
また、メキシコ経済の回復が続けば、インフレ圧力も緩和される可能性があります。さらに、米国の金融政策の先行きも不透明であり、ドル高圧力も弱まるかもしれません。したがって、メキシコペソは今後も対ドルで上昇する余地があると考えます。
もちろん、メキシコペソにはリスクもあります。
例えば、新型コロナウイルスの変異株の出現やワクチン接種の停滞などが起きれば、感染状況が再び悪化する可能性があります。
また、来年6月に予定されている大統領選挙に向けて、政治的な混乱や政策変更の懸念が高まる可能性もあります。さらに、米国の金融政策が予想よりも早く引き締められれば、ドル高圧力が強まり、新興国通貨全体に影響を与える可能性もあります。
メキシコペソを買う場合は、これらのリスクを十分に考慮した上で、適切なポジションサイズやストップロスを設定することが重要です。また、市場環境やデータに応じて柔軟にポジションを調整することも必要です。
メキシコペソは、政策金利据え置きをきっかけに反転上昇の兆しを見せていますが、まだ安心できる状況ではありません。しかし、長期的な視点で見れば、メキシコペソは対ドルで上昇する可能性が高いと私は考えます。